2021.12.14

阿古真理 「和食」って何?【私の食のオススメ本】

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「和食」って何? 表紙

  • 書名:「和食」って何?
  • 著者:阿古真理
  • 発行所:筑摩書房
  • 発行年:2015年

「和食」は2013年、ユネスコ無形文化遺産に登録された。当初、農林水産省は「会席料理を中心とした伝統を持つ特色ある独特の日本料理」として申請しようとしていたが、検討の結果、登録対象を広く日本人全体が担い手と言える内容に改めた。

結果『和食:日本人の伝統的な食文化』と題され、申請・登録されたのだ。平安時代に始まったといわれる「宴会」に始まる「おもてなし」の一環として出されたご馳走から来ていると言われている特定のイメージがある『日本料理』から、一気に広がったのだ。

ということで阿古真理は「じゃあ、カレーやラーメンは和食ですか?」と問い始める。そして、その答えを求めるべく、国の文化である和食を中心に食の歴史を考える膨大なデータの旅にでて書き上げたのが本書である。

断っておくけれど、阿古真理はデータだけで書いているわけではなく全国に取材にも出かける。本州で行ったことがなかったのが石川県だったが2018年には来県したと出版社のWEBマガジンに書いてあったので、ひとまず安心した。

ファストフードであった「すし」に始まる章では、一汁三菜の成り立ち、味噌醤油と江戸の料理文化。明治維新がもたらした肉食解禁からコロッケ、トンカツ、カレーライスの誕生。戦争による飢餓からハンバーガーの上陸。

昭和育ちの食卓では、お母さんの洋食から食品公害。家族の百貨店食堂、ファミレス、そしてエスニック料理の登場。

さらに和食の未来を阿古真理的ジェンダー視点から「台所」「女性と料理」「家庭科の役割」へと言及していく。

読み進んでいくことで「和食文化」は確立しているものでもなく、どこかを目指しているものでもなく、さまざまな影響を受けながら変遷を繰り返して変容していくものなのだという気がしてくる。この国に生きる者がその根底に残り続けるものを探ることをやめさえしなければ「それでいいじゃん」という思いにも至る。根底を考え、忘れなければ、である。

和食とは何か、の答えがこの本にあるわけではない。冒頭に書いたユネスコ無形文化遺産における和食の定義を覚えても仕方がないのだ。和食とは何か、は私たちが考え続けていく生きる根本テーマなのだ。

WRITER Joji Itaya

出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。

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