- 書名:ノーマの発酵ガイド
- 著者:レネ・レゼピ 共著デイヴィッド・ジルバー 訳:水原 文
- 発行所:KADOKAWA
- 発行年:2019年
本書が発行される数年前から、というから2010年代初期か?著者レネ・レゼピは「発酵」に興味を持っていて、その研究と実践を通して、読者に向けて、発酵食品作りの始め方と実用的なレシピをまとめたのが本書である。
レネ・レゼピはデンマーク人シェフであり、デンマーク、コペンハーゲンのクリスチャンハウン地区にあるミシュランの 3 つ星レストラン Noma の共同オーナー共著者は、ノーマの発酵ラボのリーダーであるデヴィッド・ジルバー。
ノーマ(Noma)はもちろん『ニュー・ノルディック・キュイジーヌ(新北欧料理)』という料理の世界に新しい分野を確立した世界一のレストランのことだ。2003年に創業されたノーマは、特にここ10年の料理界に生まれた大きな潮流となったのも確かだ。
そして「ノーマで提供される料理にはすべて、発酵食品が使われている」という。
そのノーマの発酵ラボが贈る、時間と地域を超えて世界の発酵を旅するのが本書。想像を超えるユニークさの発酵レシピにはフードロスへの試み、新たな食材と出会に対する喜びからでできている。
本書は発酵初心者が失敗しないように次のように構成されている。
発酵入門 Primer
果物と野菜の乳酸発酵 Lacto-Fermented Fruits and Vegetables
コンブチャ Kombucha
酢 Vinegar
麹 Koji
みそ Misos and Peaso
しょうゆ Shoyu
ガルム Garum
黒フルーツと黒ベジタブル Black Fruits and Vegetables
器材 Equipment
たとえば本書には、セロリ酢、ハチノスツヅリガを利用した調味料。コンブチャの種類だけでも、コーヒー、エルダーフラワー、バラ、マンゴー、メープル、リンゴ、レモンバーベナ、コンブチャ・シロップなどがあり、一般的には魚醤をイメージする「ガルム」についてはビーフやバラとエビのガルムなどというものまで出てくる。
これは、ありとあらゆる物を発酵させてやろうという本であることは確かである。
ただし、発酵作業においては、仕事場は清潔であるべきで少しでも疑わしいものは捨てる勇気が必要。塩分濃度やpHは厳守。手作業では必ずニトリル手袋またはゴム手袋をすること。殺菌は160℃で2時間オーブン加熱、または60%のアルコールで行うことなど、不必要な他の菌を取り込んでしまうような手抜きでは発酵は成功しない。
まずは、そこからだ。
出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。