2021.12.10

ワインの造られなくなる日とボージョレ・ヌーヴォー(前編)

ボジョレーヌーボー2021のボトル

昨年もこのRIFFで多くのワイン記事やボージョレ・ヌーヴォーについて書いてきたワタクシだが、せっかくだし皆に飲んで貰おうかと私のボージョレ・ヌーヴォー2021をチョイスして、金沢・片町のスナックパンチで「ボジョレー・ナイト」をやってみた。

ちなみに以下で、ボジョレーとかボージョレと表記が揺れるが、これはワザとである。ワード検索したときに記事を少しでも上に上げようとというSEO対策という諸般の事情で、巷で表記が揺れているのに合わせて、どちらでも引っかかるように書いている。

さて、ワインのことを書く者として、ちょっと言わねばならないことがある。

今年は一体、フランスにとってどういう年であったかということを。

世界はコロナの報道ばかりが注目されている中、フランスでこの季節としては異例の霜が観測されたというニュースが今年の4月上旬に入って来た。

この季節外れの大冷害はブドウ畑に深刻な被害をもたらすことになる。ローヌ、ブルゴーニュ、ボルドー、シャンパーニュ、プロバンス、ロワールに至るまでフランスワイン生産地の80%に甚大な被害をもたらした。産地によってはブドウが半数廃棄されたところもあるという。

この氷点下の遅霜に対抗するため、ワインの造り手達は、ドラム缶に火を焚き続けた“キャンドル”で暖を聚めてブドウを守ろうとした。あるいはヘリコプターを上空に飛ばして、暖かい空気を循環させて霜を防ごうとする生産者もいたが、焼石に水とはこのことであった。

もしかするとワインが造れなくなる日もそう遠くないかもしれない、と思う。

ここ数年、冬が暖かい。確かに子供の頃より断然に暖かい気がしていたが、それは気のせいではなかった。

冬が暖かくなると、ブドウの発芽が早くなる。これが今年の大冷害のきっかけになった。

芽ができた時に、遅霜にやられてダメになってしまうのだ。更に最近は、大きな雹までが落ちてくるという。

年々雹は大きくなっていき、握り拳ほどの大きさになるものもある。それらはブドウを痛めつけ、収穫量を減らしてしまう。

被害を受ければ、その房は廃棄される。こうして収穫高は落ちていくのだ。

さらに最近はべと病も流行りはじめている。気温が高い中で雨が続くと、こうした植物性の病気が発生しやすくなるのだ。

まさかワインが造られなくなる日がくるなんて大袈裟なことを、と嘲ること勿れ。

フランスは19世紀末にフィロキセラというアブラムシの一種が全国土に蔓延したことにより、フランス国産ブドウの木の2/3が壊滅しているのだ。

今まで安定的であったフランスのワイン生産だったが、2016年はべと病、2017年は雹の被害が。

去年は2016年をさらに上回るべと病と黒腐病に見舞われる。そして今年、2021年はフランス全土が遅霜によって未曾有の被害を受けた年だった。

本当にこの先、ワインは飲めなくなるかもしれない。

ワインを飲む前にそんな地球環境の話をしようと思っていたのだが…

誰もいないんかい!

それもそのはず、2021年のボジョレー・ヌーヴォー解禁11月18日は木曜日のド平日。

そんなコロナ対策万全な中、スナックパンチのママChonanと二人でしめやかに自然派ワインの作り手たちの丹精こめて造られたボジョレー・ヌーヴォー祭が開催されたのである。

今回のラインナップはこちら、計6本でお送りいたします。

ボジョレーヌーボーのボトル

左から

  • ボージョレ・ヴィラージュ2021、造り手はジャン・マルク・ラフォレ
  • ボージョレ・ヌーヴォー2021 フィリップ・パカレ
  • 〃 シルヴェール・トリシャール
  • 〃 レミ・デュフェートル
  • ボーシャン・ヌーヴォー2021(赤) ローラン・ミケール
  • ボーシャン・ヌーヴォー2021 (白)  〃

後編に続く(多分)

私は、だいたい数日に一食しか食べない。一ヶ月に一食のときもある。宗教上の理由でも、ストイックなポリシーでもなく、ただなんとなく食べたい時に食べるとこのサイクルになってしまう。だから私は食に対して真剣である。久々の一食を「適当」に食べてなるものか。久々の食事が卵かけ御飯だとしよう。先に白身と醤油とを御飯にしっかりまぜて、御飯をふかふかにしてから器によそって、上に黄身を落とす。このときに醤油がちょっと強いかなというぐらいの加減がちょうどいい。醤油の味わい、黄身のコク、御飯の甘さ。複雑にして鮮烈な味わいの粒子群は、腹を空かせた者の頭上に降りそそがれる神からの贈物である。自然と口から出るのは、「ありがたい」の一言。