出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。
熟れ行くパンと作家たち 食に関する話で素敵だなあ、と思ったものに雑誌オール讀物の『食べる私』という連載でエッセイスト平松洋子が宇能鴻一郎邸を訪ねるというのがありました。宇能鴻一郎はもちろんあの「部長ったら、スゴイんです…」の官能小説家です。宇能氏は一人で敷地面積600坪の洋館に暮らし、毎日の食事を調……