先日、記事(『KNOWCHのデラウェアができました』リンク挿入)の中でご紹介したOPENSAUCEの農地所有適格法人、KNOWCH(以下、ノウチ)のデラウェア。
今回はそんなデラウェアを含め、ノウチの葡萄を数種類使用した新作スイーツが開発された!とのことで、試食へ向かうノウチ葡萄チームの城(たち)さん、広末(ひろすえ)さんにご一緒し、今金沢で話題沸騰中の、行列の絶えないとある人気店へとお邪魔してきました。
金沢の新スポット Pâtisserie L’aube 花鏡庵
やってきたのは、2022年4月に金沢市尾張町にオープンした、Pâtisserie L’aube 花鏡庵(パティスリーローブ かきょうあん)。「ミシュランガイド東京2022」において、5年連続となる1つ星の評価を受けた東京の東麻布にあるフレンチレストラン、「レストランローブ」の新業態です。
同店でパティシエールを務めるのは、世界15カ国で展開する本格レストランガイド『ゴ・エ・ミヨ』の2020年度版でベストパティシエ賞を受賞した、平瀬 祥子さん。フランスの『レストラン・トヨ』や日本の『エディション・コウジ シモムラ』、『レストラン・アイ』など、名実ともに超の付く人気店で、シェフパティシエを務めた経歴の持ち主です。記憶に新しい2022年6月には、TBS系列のドキュメンタリー番組『情熱大陸』でも紹介されるなど、今、日本で大注目のトップパティシエの一人です。
KNOWCHの葡萄を使った新作「レザン / raisan」
そんな平瀬さんが、KNOWCHの葡萄を使用して開発した新作ケーキ、「レザン/raisin」(税込770円)。
宝石のような輝きを放つ一品は、葡萄の粒をイメージさせるデラウェアの球体状のムースや、サニールージュなどの様々な品種の葡萄、コンフィチュールに塩味が効いたサブレブルトンとクリームチーズのムースが層になり、赤紫蘇とワインジュレの真紅のヴェールが包みます。
お皿の上に表現された世界観に思わずケーキということを忘れ、早く味わいたいという衝動を押し殺すほどに、見入ってしまう美しさ。
──そんな気になる新作ケーキ「レザン」について、平瀬さんにメニュー開発の裏側をお聞きしました。
平瀬「今回は、ノウチの葡萄の美味しさを存分に引き出すため、使用する品種ごとの味わいに合わせ、調理方法や味のバランスの調整を行いました。葡萄の粒のイメージをケーキの中でも表現したいと思い、まず最初に取り組んだのはデラウェアのムース作り。象徴的な球体状のムースを軸に、そこから先は足し算で、ケーキを成す他の階層を仕上げていき、口に入れたときの全体のバランスをより美味しく、葡萄らしさを出すための追求をしました。
デラウェアは皮がそのまま食べられないため、これまでのケーキ作りではあまり使用してこなかった品種でしたが、今回はムース作りの際に皮ごとミキサーにかけました。そうすることで、実だけの状態でミキサーにかけた時よりも葡萄の風味をより強く感じることができ、全体がバランス良く、理想的な味わいに仕上げることができたと思います。私としても発見でした!
実際に召し上がったお客様も、デラウェアがこんなに美味しいなんて…と驚かれていた様子でしたので、ノウチの葡萄、素材本来の味を余す事なくそのままに表現することができて嬉しく思っています。葡萄の旨味となる水分が外に出ないうちに、朝一番で食べていただくのがオススメです。」
KNOWCHのお二人も感動の嵐
開発期間に1ヶ月半を要したという、渾身の一作。
ノウチの葡萄チームのお二人も、いざ実食。
ご自身でも、葡萄のジャムやソースを作ろうと試みたが、全く美味しくならなかった(頭が痛くなるほど甘かった)…というお二人は、一口食べた瞬間に大感激。「私たちの育てた葡萄が、こんなに綺麗で美味しくなるなんて…。」と感慨に浸る様子でした。
そんなノウチのお二人を代表して、城さんに味や試食の感想を尋ねました。
KNOWCH 城「平瀬さんのお話をいろいろ伺って、実際にケーキも食べてみましたが、感動しかありませんでした。生産者側としては、ニーズに応えて作る事が当たり前だと思っていたのですが、その年の気候や、収穫時期によって毎回同じものがない事を理解したうえで、その都度、味や仕上がりの調整をしているとお聞きし、正直安心しました。
こちらに一方的に求めるのではなく、寄り添ってくれている気持ちにしっかりこたえるため、一房でも多く美味しいぶどうが作れる様により一層の愛情を込めて育てていきたいと思います! 私達が育てたデラウェアの味を活かして、あんなに素敵なケーキにして頂けて本当に感動しかありません、ありがとうございました!!」
「レザン/raisin」は9月末まで期間限定での販売予定
今回の取材の中で印象に残ったのは、ノウチの城さん・広末さんの、新作ケーキ「レザン」を見たときの嬉しそうな表情でした。自分たちにとって子どものような存在の葡萄が、見た目も味も立派なケーキに仕上がったのを見る眼差しは、まさしく子を持つ親の顔に見えました。
平瀬さんを交えた会話の中で、「来年はもっと美味しい葡萄をつくりたい!」と語られていた姿から、農家や生産者と、その食材・素材を使用する料理人やパティシエが、お互いの顔を見て直接話すことの重要性や、その積み重ねが信頼関係を築いていくのだと改めて学びになり、大変貴重な機会に立ち会うことができました。
今回ご紹介した、ノウチの葡萄を使った新作ケーキ「レザン/raisin」(税込770円)は、パティスリーローブ花鏡庵にて、9月末まで期間限定での販売予定です。※予定前に販売終了となる可能性があります。
ぜひ、この機会に花鏡庵を訪れてみてはいかがでしょうか?
店舗情報
電話 | 076-254-0903 |
住所 | 石川県金沢市尾張町2-4-13 |
アクセス | 金沢駅より徒歩約15分 |
駐車場 | なし |
定休日 | 火曜日、水曜日 |
営業時間 | 11:00〜18:00(カフェ営業は15:00〜18:00)※売り切れ次第終了。 |
予算感 | 1000円~2000円 |
SNS |
interview/text :Yuki Sekiguchi