2019.08.14

伊丹十三 フランス料理を私と【私の食のオススメ本】

「フランス料理を私と」表紙

  • 書名 フランス料理を私と
  • 著者 伊丹十三
  • 発行所 文藝春秋
  • 発行年 1987年

当時2500円もした1987年の初版本を買って持っているのが自慢だ。やったことがないのでわからないが、この一冊でフランス料理の基本は会得できる、はずである。どこかで中古本が売られていたら必ず買うべきだと思う。伊丹は、リヨンのボキューズなどで研鑽を重ね、後に沖縄サミットの総料理長になった辻調の水野邦昭を先生にフランス料理をいきなり習い作り、ほぼオールカラーで説明するという暴挙にでる。

そして、玉村豊男、北沢方邦、岸田秀、槇文彦、西江雅之、山本七平、佐々木孝次、福島章、蓮實重彦、岸恵子らを現場につき合わせ、育児論、神話学、言語学、進化論、都市論などを軽妙に口述筆記で記録していく。

こんな本はいまだに見たことがない。説明してもわからない部類の1冊だ。

WRITER Joji Itaya

出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。