2021.12.09

ズワイガニ解禁に思う
水揚げ減少と人材

ズワイガニの写真

11月6日は待ちに待ったズワイガニの解禁日でした。毎年6日は漁が始まる日ですので、実際の店頭に並ぶのは7日からです。

そして、この日を境に近江町市場の様子は一変します。どこを見てもズワイガニが視界に入る景色と、漂う茹で上げたカニの芳香は、金沢の冬の到来を如実に表しています。

 色々なメデイアで取り上げられていますが、石川県産ズワイガニの最高級ブランド「輝」(かがやき)が今年から設けられました。そして、早速初日には珠洲市蛸島漁港で水揚げされた、重さ1.88キロ、甲羅の幅15.6センチの大きなズワイガニが「輝」の第一号に認定されました。

今年の最高額を決める蟹-1(かにわん)グランプリの記事が1面に

私も長年ズワイガニを扱ってきましたが、ここまで大きいものはそうそうお目にかかれません。その「輝」第一号は初競りにかけられ、なんと500万円で落札されました。

毎年の初競りでは多少のご祝儀相場はお約束ですが、これほどの値段は驚くほかはありません。入札した方々は、記念すべき第一号ですからPRとして落札しようと考えていたとも思われますが、それにしても驚愕の価格ですね。

 日本国内におけるズワイカニの水揚げは1968年をピークに減少の傾向がありましたが、77年の200海里漁業協定が定められた頃から激減し、現在は国内漁獲量の倍以上を輸入している状態です。

ただ、水揚げ量の減少は必ずしも資源量の減少だけが理由ではありません。なぜなら、近年は環境保護への意識の高まりから、禁漁期間の徹底順守や乱獲防止など様々な方策で資源を大切にしようと漁業関係者たちは行動しており、その効果も少しずつ出て来ております。

現実として最も深刻な問題は漁業従事者の減少です。

獲りに行く人が減れば、水揚げ量も減るのは当然です。実は、料理業界でも慢性的な人手不足の状態なので、食文化の伝承を担う人材の育成についてはもう「待ったなし」なのです。

石川県金沢市「日本料理 銭屋」の二代目主人。
株式会社OPENSAUCE取締役