出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。
書名:肉とすっぽん 日本ソウルミート紀行 著者:平松洋子 発行所:文藝春秋 発行年:2020年 料理エッセイを多く書き続ける平松洋子のルポで秀逸だったのは、「オール読物(文藝春秋)」2011年10月号の”官能的”という特集に載った官能小説のマエストロ、芥川賞作家・宇能鴻一郎の自宅で食事をする、という……