2021.05.10

パリっ子の食卓【私の食のオススメ本】

  • 書名:パリっ子の食卓
  • 著者:佐藤 真
  • 発行所:河出書房新社
  • 発行年:2019年

著者、佐藤真氏はパリの日本語新聞「オヴニー」1979年の創刊に参加し、同紙の編集長も努めた。パリのホテルとか観光地に行くと必ず置いてある邦人向けのオヴニー誌は現在WEB版とPDF版もありどこでも読めるのでうれしい。

そのオヴニー誌で30年にわたって人気だった氏のイラストとエッセイでつづる料理レシピ

この本は星付きのレストラン探訪記ではない。一般家庭の日常や日曜日に腕を振るうような「フランスのふつうの家庭料理のレシピノート」だ。春夏秋冬で全100種類の料理について目の前で料理をしながら氏が「フランス料理は簡単なんだよ」と教えてくれているような読み物である。

読み物なので、いわゆるレシピサイトのようにわかりやすく整理されていないのだけれど、気に入った料理は自分流のレシピとして書き出しておきたくなる。

佐藤氏はこの本でレシピを伝えるというより、パリの家庭で学んだ「作業を分担しながら、誰もが料理の犠牲にならず一緒に食事の時間を楽しむ料理」ということを伝えたいのだと思う。

100種類の料理の一部を書き出しておく。タイトルを見れば、フランスだなあと思えるものもあるのだがごく普通なものが多い。

たんぽぽのサラダ。ウサギのマスタード風味。カスタード・プリン。エイの焦がしバターかけ。チョコレートケーキ。エスカルゴ料理。カリフラワーのグラタン。ニジマスの冷製。バスク風マグロ料理。ラタトゥイユ。ニース風サラダ。子羊のクスクス。ブルターニュ風ゆでガニ。ロースト・ポーク、オレンジ風味。

さらに、りんごのタルト。ホロホロ鳥の栗詰め。ウサギの赤ワイン煮。サバのショウガ風味。ポトフ。トリュフ・オ・ショコラ。ムール貝の白ワイン煮。キッシュ・ロレーヌ。ラクレット。帆立貝のグラタン。キャベツと豚肉の煮物・・・

レシピ文末に合わせるワインが「あれもいいかも」といった調子で書いてあったりするのも楽しい。

WRITER Joji Itaya

出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。