2021.05.06

食物漫遊記【私の食のオススメ本】

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  • 書名:食物漫遊記
  • 著者:種村季弘
  • 発行所:筑摩書房 ちくま文庫
  • 発行年:1985年(初出1981年)

1979年から1980年に外食コンサル系の月刊「飲食店経営」に連載されたドイツ文学者、種村季弘によるエッセイ。

神秘学、幻想文学者でもあった種村氏は当時さまざまな分野の雑誌にエッセイを提供していた。編集者としては困った時の・・だったかもしれないが、文学にとどまらない膨大な知識とさまざまな観念に基づく軽妙な文章は読者を楽しませた。

本書ではこんな話がでてくる。

岡山の焼鳥。尾道のままかり。愛宕下の豆腐。横浜の牛肉。駒込の洋食。麻布の紅茶。雑司ヶ谷の料理店。フライブルクのアラブ・パン。蒲田の天丼。鎌倉のきのこ。向島のどぜう。銚子の亀甲万。築地のうどん。

こう書くと普通の食味随筆のように思われてしまいそうだけれど、例えば焼鳥といってもだいぶ枕話もあり、鶉(うずら)・雉子・山㟁(やまぎし)・雀・雲雀まである野鳥料理屋の話であり、サンスクリット語の話から南方熊楠なども出てくるのだがそれがまた軽ーく面白がらせてくれる。こんな感じで全てが紹介されていく。

文庫本の解説を担当した吉行淳之介はこの本を「一ひねりも二ひねりもしてあって、まずその趣向が愉しめる」と書いた。正しくである。

WRITER Joji Itaya

出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。

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