出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。
書名:母の味、だいたい伝授 著者:阿川佐和子 発行所:新潮社 発行年:2023年 本書は2018年6月から2022年2月まで新潮社の『波』に連載されたエッセイである。認知症の母親との会話と思い出話が軸となっている。 事細かく書かれた裏技調理法の話ではない。レシピの話になると著者、阿川は他で書いたから……