「月の港から届くワイン」前編に続き、後半ではボルドーワインのバリエーションやお料理との相性について紹介したいと思います。
クレマン・ド・ボルドー Crémant de Bordeaux
ボルドーで作られるスパークリングワインです。
スパークリングワインの種類には、炭酸ガスをワインに直接注入する製法や大型のタンク内で二次発酵を行うものなど様々ですが、クレマン・ド・ボルドーは瓶内でワインを二次発酵させることによって泡を生む、シャンパンと同じ製法で作られる高品質なスパークリングワインです。
カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、ソーヴィニヨン・ブランなどのボルドー系ブドウ品種を使って作られます。
食前酒として飲まれることも多いですが、カナッペやフレッシュなチーズ、ホタテやエビなどの魚介を使った料理などと相性抜群です。
白ワイン
ソーヴィニヨンやセミヨン種のブドウを主体に作られます。
私がボルドーのシャトーを訪れた際は、しっかりと冷やした爽やかな白ワインに名物のボルドー産生牡蠣を合わて出して頂きました。
樽で熟成させた、ナッツやバターを感じるようなコクのあるタイプの白ワインには同じくバターを使った料理やローストした魚介類などがよく合います。
ロゼワイン
ボルドーのロゼワインは大きく2つの種類に分けられます。
A.O.C.ボルドー・ロゼ Bordeaux Rosé
黒ブドウに一部白ブドウをブレンドして作られます。
鮮やかなピンク色。
イチゴやお花を感じるような繊細でみずみずしい果実味を持つものが多く、現地ボルドーでもタパスやカルパッチョなどの軽い味わいのものを合わせていました。
A.O.C.ボルドー・クレレ Bordeaux Clairet
黒ブドウのみで作られ、ボルドー・ロゼに比べると色はやや濃いロゼワインとなります。
バラの花やラズベリーのような赤系果実の香り、程よい酸味とそして後半には黒ブドウの果皮からの心地よいタンニン(渋み)をわずかに感じます。
黒ブドウの特徴を生かして作られたロゼワインなので、やはりお肉系を合わせたいところ。
牛もも肉のタタキや生ハムなども良いでしょう。
これからのサマーシーズン、ピクニックやバーベキューなどのシーンでも活躍してくれそうですね。
(A.O.C.とはAppellation d’Origine Contrôléeアペラシオン・ドリジーヌ・コントロレの略。特定の産地の呼び名を守るための原産地統制呼称制度。)
甘口ワイン
世界三大貴腐ワインの産地の一つであるソーテルヌ地区が有名です。
もちろん好みは人それぞれですが、ソムリエをやっていると「え、甘口ワインはちょっと…」という方、多いですね。
個人的には素晴らしいと思います。
簡単に「甘口ワイン」と括れないくらい奥が深いです。
甘いデザートに合わせてデザートワインとして楽しんだり、また濃厚なフォアグラ料理に合わせる定番の組み合わせもおすすめです。
ボルドーのカジュアルなレストランでは食前酒のメニューにグラスのソーテルヌの記載があるものを度々見かけました。
生牡蠣に合わせたり、名物のカヌレに合わせたりして楽しんだのを思い出します。
青空の気持ちのいい天気、心地よい風の通る開放的なテラス席でのランチ。食前酒として冷えたソーテルヌの甘口ワインが用意されたら最高ですね…。
ボルドーワインに合う家庭料理
さて、ここまではワインの説明でしたが、ワインはやはり料理と合わせて楽しむことも醍醐味のうちの一つです。
家庭料理を中心にした簡単なマリアージュをご紹介したいと思います。
スパークリングワインに…
豚肉の冷しゃぶ きゅうりやトマトなどのお好みの夏野菜を添えて 胡麻ダレ
(トマトは夏野菜じゃ無いそうですが…)きめ細やかな泡立ちの弾けるような味わいのスパークリングワインには、同じくシャキッとした食感の夏野菜をたっぷりと使って涼しげな冷しゃぶで。
爽やかな白ワインには…
・冬瓜の煮込み 枝豆の塩茹を少し添えて
これからが旬の冬瓜をお出汁で煮た夏らしいお料理。冷やして飲む白ワインに合わせて、冬瓜の煮込みも冷蔵庫で冷たくして料理に仕上げましょう。
・季節の天ぷら
旬の野菜やキスなどを使った天ぷらにも白ワインは相性抜群!
ワインのシャープな酸に合わせてレモンを一絞り。お塩でいただきましょう。
コクのある白ワインには…
・サーモンのパイ包焼き
・キノコのバター炒め
パイ生地やナッツなどを使った料理と合わせてもおすすめです。
赤ワインには…
・牛肉のすき焼き
・ピーマンの肉詰め
ボルドーらしいフルボディの赤ワインには同じく力強い料理を合わせるといいでしょう。
甘口ワインには…
・お好きなフルーツを使ったパウンドケーキやチーズケーキなど。
・ブルーチーズとクルミを使ったサラダ ハチミツを加えた少し甘みのあるドレッシング
白ブドウを使って作られるボルドーの甘口ワインにはアプリコットや紅茶、ハチミツなどのアロマを感じ取ることができます。
合わせるデザートや料理もそれらが入っているものやそれに合うものを選びたいですね。
ただ、チョコレート系のデザート以外であれば合わないということは少ないです。
ボルドーワインを楽しみましょう!
ボルドーワインだからといって難しく考えず、楽しんでみましょう。
近年は日本でもボルドーワインのソムリエ日本一を決める「ボルドー&ボルドーシュペリュールソムリエコンクール」が開催されるなど、ボルドーのワインも盛り上がりをみせています。
中国やルーマニア、レバノンなど世界のワインマップがどんどん広がりをみせていますが、伝統的な産地であるボルドーの今後も見逃せませんね。
(この記事は本OPENSAUCEメンバーによって在籍中に書かれたものです)