2023.12.05

1歳半から食べられるスパイスカレー登場!ノマチカフェ探訪。

2023年秋から『金沢食藝研究所』のメンバーでもある野岸広之シェフとパティシエの吉田友希さんによって『ノマチカフェ』のメニューが刷新され好評を得ていると聞き、編集部が訪ねてみました。

『ノマチカフェ』は『金沢未来のまち創造館』の1階にあり、施設利用者や地域住民の”みんなが使える交流カフェ”。店内では金沢食藝研究所のメンバーによって研究開発されたメニューが提供されています。

オープン以来、このカフェでは海外の姉妹都市との交流によって生まれたオリジナルメニューなどが提供され、楽しまれてきました。しかし今回、館内にはシェアオフィス、コワーキングスペースの利用者、VIVISTOP金沢に参加する子どもや引率者、運営スタッフが増えたこともあり、「このカフェが今提供すべきものは何か」と野岸シェフは考えたそうです。

そして思いついたのは「外食しても罪悪感のないメニュー」。筆者の解釈では食べることが健康に役立つと思わせてくれる料理とも言えるかもしれません。

施設利用者のために「美味しさと健康維持に必要な栄養素を摂ってもらうこと」を追求することにしました。

<実食してみると、確かに野菜を多く使ったランチプレートや、濃厚感と旨みがあるのに実は豆乳を使っている野菜が摂れる「担々麺」など、予想以上にヘルシー(内容は後述)。以前よりも健康と楽しさを念頭においたメニューにシフトしていることがよくわかります。>

1歳半から食べられる
スパイスカレーの誕生

そして、メニュー考案中の野岸シェフに、OPENSAUCEメンバーでモデルとして活躍する元康(もとやす)さんから離乳食の相談が持ちかけられます。

離乳食期を迎えた長女のために「ベビーフードコンサルタント」や「離乳食・幼児食コーディネーター」の資格をとり、何を食べさせていいのかを学びながら育児をしていた元康さん。相談とは、生後12〜18ヶ月の「離乳食完了期の赤ちゃんのためのカレー」だったのです。

元康さんは離乳食を調べていく中で、「これも離乳食で食べさせていいの!」と思ってもいない食材が使用できること知ります。さらに、使ってもいい「スパイス」もあることを知り、それらのスパイスで「カレー」が作れるかを野岸シェフに打診したのです。そして、「大丈夫、できますよ」という心強い返事をもらいます。

『ノマチカフェ』の新メニュー開発と並行して、野岸シェフは元康さんの離乳食についての情報をもとに、アメリカやメキシコ、ペルーといった料理で身につけた得意のスパイスの合わせ方を用いて離乳食完了期のスパイスカレーの試作にさっそく取りかかりました。

メニュー開発中の野岸広之シェフ

スパイスの割合など、何度もの試作を重ねて生み出されたカレーは、玉ねぎ・にんじん・セロリなどの野菜をふんだんに使い、離乳食として通用する細かさと柔らかさで、旨味が凝縮されています。そして、使用されたクミン・コリアンダー・パプリカ・ターメリックなどのスパイスはどれかが突出することなく、バランスよく「スパイスカレー」として一つの世界を作っています。

開発にあたり、野岸シェフは、胃腸に負担をかけないようにと植物油を使用せず、食材の豚肉から出た脂のみを利用したり、コクをだすための醤油はグルテンフリーのものを探して使用しているとのこと。

これは、自分のからだに負担をかけない、余計なものを摂らないという点で、野岸シェフが考えたテーマ「外食しても罪悪感のないメニュー」と言えます。

(※詳細レシピについては11月23日に一般向けに開催された「一歳半から食べられる本格スパイスカレーのレシピ教室」の報告記事で解説の予定)

『ノマチカフェ』でオンメニュー

そして、元康さんが離乳食完了期の長女に食べてもらったところ好評だったことや、たまたま試食した他の関係者、一般中学生によって高評価を受けたこともあり、急遽『ノマチカフェ』の通常メニューに追加されることが決まったのです。

筆者も食してみて、離乳食としても、大人の舌にも十分対応した優しく滋味深いスパイスカレーが完成したと感じました。食べた後、自然派といわれるインド料理店のインド人シェフの言葉が浮かびました。「料理で大事なのはホモジニアス。調和です」。正しくそんな感じを受けたのでした、

<離乳食としてのスパイスの使用は1歳以上からという説もありますが、「1歳半から」としたのは、元康さんと野岸シェフが赤ちゃんの体格の差などによる影響や安全性を考慮したためとのこと。>

実は完成当初はサイズも1種類。こんな感じでした↓

それがこんな感じにグレードアップ

1歳半から食べられるスパイスカレー(内容や付け合わせは変更されることもあります)

通常の盛り付けとしての付け合わせに「ほうれん草入り豆乳マッシュポテト(塩のみ) 」「バナナのアチャール(パプリカ、コリアンダー、クミン)」「ムラサキキャベツのハーブラペ(オレガノ、タイム、バジル)」「ピーマンとスチームチキンのカルダモン炒め(カルダモン、ホワイトペッパー) 」「うずらのタマゴのアチャール(クミン、コリアンダー、ターメリック、レモングラス、チリパウダー) 」「デュカ」「乾燥パクチー 」を添えて、いわゆる「スパイスカレー」感を増幅させたのです。

さらに野岸シェフは、大人向けの味変調味料としてオリジナルのチリミックスパウダーも用意しました。これを筆者の味覚に合わせながら混ぜていったところ、HOTなだけではない、旨みある大人のスパイスカレーになりました。

1歳半からのキッズ専用
小さいサイズのスパイスカレーも登場

この12月、当初、普通サイズ1種類だった「1歳半から食べられるスパイスカレー」に子ども用サイズが導入されました。付け合わせも子供用にアレンジ。「ほうれん草とジャガイモのマッシュポテト」そして「バナナアチャール」が載っています。 さらにパックのリンゴジュースが付くとのこと。お父さんやお母さんもオーダーしやすくなったと思います。

今回、「1歳半から食べられるスパイスカレー」が、赤ちゃんという具体的な人に寄り添った”思い”と、それぞれの立場で食を考える”メンバーによる連携”から生まれたことは、OPENSAUCEにとって大きな意味を持っているのではないかと筆者は感じています。

こういう「思い」から始まるいくつもの開発が、食の未来をつくっていくのだと思います。

ノマチカフェが「カラダ思い」の新メニューに。

金沢未来のまち創造館の『ノマチカフェ』では「1歳半から食べられるスパイスカレー」がメニューとなりましたが、他の新メニューを紹介しておきます。

野岸シェフが『金沢食藝研究所』メンバーとして推している新メニューが<成人が1日に必要な緑黄色野菜が取れるように野菜を主体>にしたランチで人気のプレートです。1日分の緑黄色野菜がとれるプレートは「サーモンクリーム煮」と「チキントマト煮」の2つから選ぶことができます。

1日分の緑黄色野菜がとれるプレート「サーモンクリーム煮」
1日分の緑黄色野菜がとれるプレート「チキントマト煮」

そして単品の定番メニューで人気なのが「豆乳担々麺」。スープに豆乳を使い、具にも7種類の野菜を入れた。こちらも野菜を食べてもらうことを目的にしている。「外食しても罪悪感のないメニュー」の代表とも言える。

野菜を食べる豆乳担々麺

月曜日は
『乳製品を使わないバターチキンカレー』の日

野岸シェフは、月曜の「カレー曜日」のために、ここ数年、人気が上昇している「バターチキンカレー」を乳製品を使わずにココナッツオイルと豆乳で製作。驚くほどのクオリティで完成させました。乳製品アレルギーなどにも配慮し、かつヘルシー志向のゲストにもうれしいメニューです。

「乳製品を使わないバターチキンカレー」はプレート料理がお休みの月曜日のみ提供

スタジアムグルメのあるカフェ

シェアオフィスやコワーキング・スペースでの作業の途中、ものづくりに夢中になった子供たち。ちょっと元気になる食べものが欲しい!そんな要望に応えるためのメニューが子どもも大人もうれしい「スタジアムグルメ」。アメリカ料理に精通した野岸シェフが作る本格派。キャップ型の器に入った揚げたて「フライドポテト」に「ホットドック」。

みんな大好き、フライドポテト。ディップにはマスタードや特製ノギーチョ・ソースなどが選べる。
写真は特製のチリソースがかかった本格チリドッグ。
ノーマルスタイルのホットドッグも選べる。

OPENSAUCEメンバーの皆さんには、野岸シェフによる『ノマチカフェ』のからだ思いの新メニューをぜひ味わっていただくことをお勧めします。

※パティシェ吉田友希さんの新スイーツメニューは次の記事でご紹介します。こちらも季節や健康を考えたものが多く開発されていますのでインスタなどでご覧ください。

ノマチカフェ(instagram)
https://www.instagram.com/nomachicafe.cll/

text : Joji Itaya