- 書名:魯山人の料理王国 <新装復刻>
- 著者:北大路魯山人
- 発行所:文化出版局
- 発行年:1980年
元は昭和35年、京都の淡交新社が発行した「春夏秋冬 料理王国」。
様々な料理についてさらりと余計な飾りのない文章で明確に評価しているのだけれど、これは料理にどう向き合うかという本であり、料理に向き合うということはどう生きるかを考えることなんだなあ、と思わせる。
「牛肉が上等で、大根は安ものだと思ってはいけない。大根が、牛肉になりたいと思ってはいけないように、私たちは、料理の上に値段の高いものがいいのだと思い違いをしないことだ。」
こんな文章も多いので、なるほど、これは使えるなと思ったりすると、この本を読んでわかった気になってはいけない、と釘を刺されるようになっている。
ちょっと読んで「魯山人がさあ、こう言ってるんだよ」などと夢夢語らぬように。
出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。