- 書名:ワタナベマキの台湾食堂
- 著者:ワタナベマキ
- 発行所:株式会社KADOKAWA
- 発行年:2021年
台湾に10年以上通い詰めた料理研究家の著者が、コロナ禍に「台湾のごはんが食べたい」と旅の記憶をもとにまとめた本。旅と食への憧れが生み出したレシピ集である。
昨今、台湾は旅の目的地としても人気だ。惹かれる理由の一つに著者が言うように「ちょっとお腹が空いてきたねと、その辺の食堂に飛び込みで入っても、たいてい普通においしい」ということだろう。
帯にあるとおり「やさしい味付けで、しみじみおいしい」料理がこの1冊あれば「無理なく作れる」。気分と舌は台湾のストリートに。
定番の空芯菜炒め、たくあんの卵焼き、干し豆腐と切り昆布、大根もち、千切りじゃがいもとザーサイ、塩豆乳スープ、サンラータンなど。そして鶏のジーロー飯、豚バラのルーロー飯、豚ひき肉のタンツー麺、台湾風混ぜそばと台湾と日本の間を行ったり来たりする加減がいい。
また、ちょっと挑戦したくなるメニューも豊富だ。「長ネギと五香粉の醬」と「花椒ピーナッツ醬」「沙茶醬(サーチャージャン)」はつくっておけば、これらの醬で、鶏、牛肉と小松菜、ひき肉とナス、もやしを使って、食卓をあっという間に台湾食堂に。
紹興酒と醤油と塩で作る「黒酢だれ」も活躍。厚揚げとインゲンの煮物、三杯鶏が簡単に出来上がる。他に「ラムと酸白菜の水餃子(酸白菜羊肉水餃)」などもあり、RIFF記事にもなっていた中国東北、大陸の香りも漂ってくる。
出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。