2026.10.27

『おいしいフェスタ2026』
食藝プロチーム、調理学校生とタッグを組む!

「KANAZAWAおいしいフェスタ2026」開催

10月17日(土)・19日(日)、「金沢のおいしいをめしあがれ」ということで、金沢・しいのき緑地を主会場に、食の祭典となる『KANAZAWAおいしいフェスタ2026』が開催され、両日とも地元の20代、30代、ファミリー、旅行者、インバウンドなど、多くの来場者で賑わいました。

しいのき緑地会場では<地元食材と発酵>をテーマにオリジナル料理を提供する『飲食ブース』に、金沢の20以上の人気店のほか、すし組合、加賀料理技術保存会、加賀料理職人塾なども出店。また、金沢生菓子専門店会などにによる「カナザワあんこ市」と称した和菓子を中心としたマルシェなども行われました。

出店ブースとは別に、親子で参加できる「食文化ワークショップ(参加費 500円~1,000円)」も開催され、上生菓子づくり、糀アイシングクッキーづくりなどの体験にも多くの人が参加し楽しんでいました。

聞くところによると来場者数は昨年、第一回の3倍以上とのこと。天候にも恵まれたこともありますが、昨年よりも認知度が上がってきているようです。

金沢市と、OPENSAUCEも参加する『金沢の食文化月間・食の祭典実行委員会』が主催し開催されるこのイベント、今年は金沢に根付く発酵文化にスポットを当てた「発酵食」がテーマ。特にこのことは食や健康に敏感な女性客のマインドを捉え、来場者数増加に影響したのではないでしょうか。

事前に俳優・小雪さんを招いたフォーラムも

このイベントの前の週末には「金沢食文化フォーラム」が石川県立音楽堂において開催され、俳優の小雪さんを招いて、糀料理家・小紺有花さんと<発酵食についてのトークショー>が行われています。

小雪さんは、発酵食大好きな本人が、発酵食作りの達人“発酵おばあちゃん”を訪ね、未来に残したい郷土食のレシピを教えてもらうというNHK・Eテレ『小雪と発酵おばあちゃん』は単なる「料理番組」としてではなく、女性の生き方やライフスタイル視点で深く支持されています。

第2部では小紺さんと四十萬谷本舗・四十万谷正和さん、ヤマト醤油味噌・山本耕平さん、北陸学院大・榎本俊樹副学長による発酵文化を語るパネルディスカッションが行われました。

また、ワークショップ「日本酒 利き酒体験」はほぼ満席で、『A 発酵 RESTAURANT』の参加メンバーでもある福光屋・松前歩さんが講師として登壇。全員が松前さんの講義に集中し、利き酒にも真剣に挑戦する様子が見られました。そして、こちらも今年初で限定チケットが即売した『ナイトサケマルシェ』、毎年恒例で来場者も増え続ける『サケマルシェ』同様、予想を超えて多くの女性の参加がありました。

個人的な視点ですが、この女性層の増加は、これからの金沢の個人店・小規模店を含めた街の「食文化の未来」をささえる鍵があるように思えます。

例えば日本酒の世界で見てみると、フレンチ、イタリアン、中華、スパイス料理など、「和食と日本酒」という従来の固定観念を外し、多様なジャンルで日本酒を合わせる「ネオ・ペアリング」のトレンドリーダーと言われる女性層が増えています。

前述の利き酒のワークショップでは、こういった自由な考えでお酒を楽しむ目的に参加する女性も多かったのではないでしょうか。2000年頃までの平成にあったスペック重視(精米歩合、酒米の種類)で希少な「地酒」を収集・探求するといった、情報感度の高い男性や食通スタイルのイメージは飲食店ではもはや不要かもしれません。

ネオ・ペアリングのような意識を持っている女性たちの飲食店などへの来店が増えることで、ゆるやかに変革が起きていくのだと思います。

他のフードイベントにおいても、女性の主体的な参加が増えているところを見るたびにそう感じます。

食藝プロチーム、調理学校生とタッグを組む!

今回、RIFF編集部は特に、調理師専門学校生とタッグを組んでこの日のために試作をくり返してきた『金沢食藝研究所』の『学生ブース』でのコラボ参加に、金沢の食文化を継ぐ活動として注目をしてきました。

今年は石川県調理師専門学校、金沢製菓調理専門学校、国際調理専門学校とのコラボレーションとなりましたが、監修と指導に当たったのは、『金沢食藝研究所』副所長でA__RESTAURANTの今英之シェフ、同清水孝憲パティシエら。十代を含む専門学校生にとって、師弟関係とも違う、長く経験を重ねてきたプロの料理人と一緒に料理を開発するというのはあらゆる面で刺激になったはずです。

そして、人気カフェや料理店のプロの料理や商品が販売される中、学生の作った商品にも関わらず200食を超えるすばらしい販売実績をつくりました。

今後もこのような体験をした学生によって、伝統や地域文化を背景にもつ金沢の「おいしい」を未来につなぎ、新しい食の世界が作り上げられていくことでしょう。ぜひ、多くの人に『KANAZAWAおいしいフェスタ』その成果を体験してもらい、学生の皆さんにも感想を伝えていただければと思います。

ブース内で学生たちの接客を見守る今英之シェフ(写真中央奥)

今回監修にあたった今英之シェフはイベントを振り返り、このようにコメントしています。

 ” 今回の{KANAZAWAおいしいフェスタ」では、3校の専門学校から集まった学生たちが、学校の垣根を越えてチームを組み、「発酵」と「郷土料理」をテーマに商品開発に取り組みました。
 それぞれ異なる環境で学んできた学生たちが、ディスカッションを重ね、互いの意見やプロのアイデアを取り入れながら、一つの商品を作り上げていく過程がとても印象的でした。
 治部煮から発想した「ジブジブバーガー」、めった汁をアレンジした「スイートポテトサンド」は、郷土料理を新しい視点で捉えた、学生らしい自由な発想が感じられる商品になったと思います。
 料理は技術だけでなく、人と意見を交わし、さまざまな考え方を取り入れることで、さらに可能性が広がると思ってます。 今回の経験が、学生たちにとって料理を考える楽しさやチームで作り上げる楽しさ、そして石川の食文化の魅力を再発見する機会になったと思います。”

めった汁をアレンジした「スイートポテトサンド」

治部煮から発想した「ジブジブバーガー」

10/18日付 北國新聞に掲載された記事

「おいしいフェスタ」が開催された、金沢城公園の向かいにあるしいのき緑地(「石川県政記念しいのき迎賓館」敷地内)では、『KOGEIフェスタ!』『サケマルシェ』『クラフトビア金沢』『オクトーバフェスト』『金澤月見光路(かなざわつきみころ)』など、毎年多くのフードイベントや飲食ブースをともなうイベントが開催されています。

そのような中、『KANAZAWAおいしいフェスタ』は金沢市が中心となり主催する、「食文化散歩ができる」食育フェスと言ってもいいのではないでしょうか。

「KANAZAWAおいしいフェスタ」は地元の人たちはもちろん、観光で金沢を訪れる人にもおすすめのイベントです。

会場に来ていた数人のインバウンドの方に聞いてみたところ、「偶然通りかかったらやっていたのでラッキーだった」「いろいろな食べ物があって面白い」「どのようなフードイベントかよくわからない」「英語の説明があれば日本酒ワークショップに参加したかった」などの声が聞け、宿泊先などに簡易な英語版パンフレットやポスターなどの配布や設置、各会場のブースの英語での説明の必要性も感じました。

次回の『KANAZAWAおいしいフェスタ』がもっと発展し、参加者にも出店者にもさらに楽しく有意義なものになることを期待します。


■詳細
「KANAZAWAおいしいフェスタ2026」のサイトへ
公式Instagramはこちら

賑わいを見せるしいのき緑地会場の様子(動画)


text:Joji Itaya(編集部)

WRITER Joji Itaya

出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。