2019.06.07

夏の和食の旬対談 アワビ 前編

日本のアワビ

この記事は2019年6月7日に掲載したものです。

OPENSAUCEのメンバーによる和食の夏の旬対談。前回はトマトについて、意外な面を掘り下げました。
引き続き今回のテーマは、アワビ。
なかなか、日常的に食卓に上がることも珍しいアワビですが、これを読めば興味が湧いてくるかと思います…。

アワビの前に、牡蠣や油の話

水揚げされた岩牡蠣

三石:幕末に外国人が来て、それをもてなす時に外国人が喜んだ料理のうちの一つが牡蠣ですね。牡蠣を煮るっていうか湯通ししておいて、殻のところに戻してスープをかけたやつ。これが外国人に気に入られて。

髙木:牡蠣ってどの牡蠣? 牡蠣、いろいろあるよね。

広島あたりの牡蠣と、岩牡蠣とか。

三石:さぁー、何の牡蠣なんでしょうね。牡蠣としか。料理人が書けばまだ細かくわかるんでしょうけど。

髙木:季節はいつだったんだろう?

三石:季節は九月ですね。

髙木:じゃあ岩牡蠣。岩牡蠣ってこんなんですよ、一番大きいの。

基本的に小さい牡蠣は養殖じゃないですか。岩牡蠣は天然なんで。

あれでうち、カキフライやりますね。

三石:うぉーぜいたく!

髙木:個人的な趣味ですけど、もちろん生で食べる人も多いですけど、レモンとかかけて。

ちょっと火を通したら美味いなと思うんですけどね。

三石:前回の対談の、天ぷらは温度を上げるためのものだっていうのも、反響大きかったですよね。

天ぷらの語源って、テンペーラとかいろいろな説あるじゃないですか。

天麩羅って、天に、お麩の麩に、羅ですよね。

あれって「あぶら」って読めるんです。

江戸時代の人間は洒落っ気のある当て字が大好きだから「あぶら」の当て字でテンプラなんだろうなと私は思ってます。

髙木:でも、僕らの中では天ぷらは蒸す料理ですよね。加熱の仕方としては。揚げるではなくて、衣でコーティングして、素材が持ってる水分が、こう熱が入ることで蒸発してそれで蒸してる。

だから銀座の『近藤』さんっていう有名な天ぷら屋さんなんて、こんなでかいサツマイモ、丸ごと揚げますからね。30分くらいかけて。

その時に衣をまとわせるんですけど、衣に穴が空くとそこから全部、油が入っちゃってそうすると蒸し力が弱まるんです。

それと揚げるのはもう、腕なんですけど。

本当にふっくらと、油臭くない、焼き芋の品が良いやつみたいな。あれを天ぷらでやるんです。

あれを頂いたときに、蒸したみたいですねって言ったら、天ぷらっていうのは蒸し料理だよって近藤さんがおっしゃってましたよね。

三石:江戸時代も、今みたいな火力出せないじゃないですか。

つなぎの中に卵も使わないんで、衣分厚いし、串に通して揚げるですね、当時は。

串で通してこうやって入れるんですけど、長時間かかるんですよね。

髙木:その頃に油っていうのは何の油?

三石:菜種、あと榧(かや)も…榧は高級品でしたけど、ごま油も出てます。

そこで疑問なのが、油をどう処理したのか。それがどうもわからない。

髙木:絶対、捨ててたわけですよね。

三石:どこに捨ててたんだろうと。

油の調理方法については書いてあるんですよ。でも、処理方法については残ってないから、どこに捨てたんだろう。

髙木:燃やしてたんじゃないですか。

三石:燈明にしたのか…何に使うのか。

髙木:まるまる捨てるっていうのは、あの当時のゴミ捨てを見たわけじゃないけどちょっと考えられないですよね。川に流したりとか。

なにか加工品…それをつけて薪の着火剤にみたいにするとか、何かあると思いますけどね。

三石:僕、昔、遺跡の発掘現場とかやってたんですけどね。

江戸時代の人ってケチ臭くて、ホタテ貝出てくるんですよ。

ホタテ貝が民家のところから出てきて、何に使うかっていうと、いろいろ。まずお皿に使うんですよ。醤油皿とかに。

他にはしゃもじに使ったり、あとは、2つくらい穴があいて何に使うのかというと、竹の棒を紐で巻いて、おたま代わり。

髙木:ちょっと前に水着にしてた人もいましたね(笑)。

まぁ、いろんな使い方がありますよね。

三石:だから(油を簡単に)捨てるっていうのは無いはずなんですよね。だってケチだから。江戸時代の人って。

貝の器 そしてアワビの話題へ

アワビの煮付け

髙木:ホタテはうちは、使ったやつは金箔を貼ってもらって、輪島で漆を塗ってもらって器で使ったりもしますよ。

貝合せの時期(※7)とか。

ところが、あれもやってみて漆器ってすごいなと思ったのは、貝なんで、漆を何層も塗れないんですよね。

輪島塗っていうのは、漆を七層から九層塗り重ねて、初めて輪島塗って認定されるんです。だから輪島塗って非常に水分に対して堅固なんですけど、お箸とかでも。

貝殻の器は、1シーズン三ヶ月くらい終わったらもうリペア出さないといけないんです。原料代はタダなんですけど、維持費がかかる類まれな器ですよね。

三石:貝の器といえば、古くからアワビも貝の器にしますね。

それは、平瓮(ひらか※8)と言って神社でも使うんですけど。

髙木:アワビも金箔貼ってやりますけど、アワビは器にすると形のばらつきがありすぎてなかなか大変ですね。

三石:そういえば、いま令和になりましたけど、『万葉集』の中にアワビ出てくるんです。

アワビが片方の貝しか無いように、私の気持ちも片想い(※9)、みたいな歌なんですけど。

髙木:それを、10年くらい前に、ボストンから来たアメリカ人に、アワビのステーキというのがうちの親父の時からの名物料理で、それを出したら、説明のときに万葉集のその話をし出すんですよ。

ジャパン・ソサエティー(※10)の元理事長なんですけど。

それをとくとくと説明してくれて。

万葉集の時代から日本人にとっては特別な食材だと。そのあと伊勢神宮の話をしたりとか。それを聴きながら、へえ、そうなんですか!って(笑)

アメリカ人に習ったという。

三石:アワビ、(あー見えて)一枚貝なんじゃなくて巻き貝ですからね。

髙木:それに沿ってこうやってむいてますもんね。熨斗(のし) (※11)をつくるのに。

三石:ちゃんと見るとね、先端の方にちゃんと巻きがあるんですよ。

タコの足の先の先っぽみたいに巻いてるから。

あとトコブシとの見分け方もいくつかあるけど。

穴があいてるところが筒状に上がってるかどうか。

筒状に上がってたらアワビ。そうじゃなかったらトコブシ。

あ、そういえば縄文時代からアワビ採ってたんですよ。

骨角器、つまり鹿の角を使ってひっぺがす道具を作って。

髙木:あれは取れないですよ。素手では100%無理ですね。

あのくっついてる力ってなんなんですか。

どうやって、あの凹凸のある岩場に。

三石:あれ、真空状態ですよね。キュッポンってやるやつあるじゃないですか。足でこうやって密着させて、真空状態を作るとはがれない。

髙木:あれ、海でみつけてもどうやっても取れないですよね。こんな小さいやつでも取れないです。

三石:タコなんかもね、アワビの殻の穴あるじゃないですか、そこをこうやってニュルっとふさぐわけですよ。

そうすると、窒息してふっと浮くんですね。

浮いた時にしめしめ、と食っちゃったり。

あと、アワビの中に神経毒入れて岩から剥がしてからムシャムシャムシャと食べちゃったり。

アワビの天敵は、タコ。

髙木:タコって、ウニなんかも食いますよね。

三石:なんでも食いますよね、あいつは。海の中ではわりと最強の生き物。

髙木:真空のカッピングで思い出したんですけど、何年か前に宮田さんの誕生日で、トイレの詰まり直すやつが届いてましてね。

宮田:あれは2、3本届いてましたね。

三石:どんな誕生日なんですか(笑)

髙木:ラッピングされてね。気持ちよくなってくださいみたいな。

三石:なにそれ。嫌がらせみたいな誕生日ですね(笑)

髙木:たしか宮田さんFacebookかなにかに上げて、すごいのあげる人がいるなと。

宮田:あれは完全にスベってましたね。

髙木:宮田さん誕生日の中で一番印象的なプレゼントはあれですね。

宮田:僕は髙木さんの生き物のほうがびっくりしましたけど。

トロ箱にエアーポンプつきで、エビが49匹。

髙木:エビって長寿の象徴じゃないですか。

宮田:なんか、運送屋が持ってきたときにガタガタいってるし。

なにこれ、開けるの怖いんだけど、って(笑)

髙木:朝、近江町市場で、サイズを揃えたいから全部こうやって選んだんです。

細いヒゲってあるじゃないですか、あれって何なんですか、触覚?

三石:触覚です。センサーです。

髙木:あれが長いほうが、おめでたい席に盛り付けるにもいいんですよ。

イセエビでもあれが切れてたら縁起が悪いと。

アワビ食の起源とは?

髙木:うちの親父の代からの名物でアワビのステーキってあるんですけど、親父の頃で、年間のアワビの仕入量が1トンでした。

三石:へえ~! 1トンを一つの店で消費する。

髙木:そう。でもその頃、輪島とか舳倉(へぐら)島、珠洲(すず)なんかってアワビがバンバン獲れたんですよ。今はそんなに獲れないので(千葉の)大原とか五島列島とか、あっちのも使いますけど。

三重県のはほとんど入ってこないですね。

親父が死んで30年近くになるんですけど、その頃のアワビの値段って、今の3分の1くらいだったのかな。

三石:へえ〜。

髙木:能登半島の海女さんって三重県に次いで二番目ですからね。

三石:輪島のやつは加賀藩、前田家に献上したりしてますね。

髙木:今でいう舳倉島(へぐらじま)とか、輪島、珠洲(すず)、あのあたりで採れたアワビだけで夏で1トンくらい。

もちろん採れなくなったっていうのもあるんだろうけど、今の値段だとそれは1トン買えませんわ。

今でだいたい700キロくらい。

三石:それでも300キロ減ったくらいなんですね。

髙木:能登ではもう揚がらないですね、それだけの数は。

だから五島のやつを使ったりとか。

三石:アワビが揚がるのって古代で有名なのは千葉県なんですよね。

安房国の安房神社っていうんですけど、あそこなんかはアワビが採れるからっていうんで、神領っていって朝廷から特別に神様用の領地に認めてもらったりとか。

髙木:でもアワビで一番有名なのって、イメージでぱっと出てくるのは三重県。

三石:うん、伊勢神宮だってそれで選ばれてますからね。

倭姫命(やまとひめのみこと)っていう女性が天照大神の全権大使的なかんじで、どこにアマテラスを鎮座させようかとアマテラスの引っ越し先を探す旅に出るんですよ。

全権委任だから、彼女が言ったことは天照大神の言葉と同じって扱いになるんですけど、それで海女さんから「こんなんあるよ」って食べさせてもらったのがアワビ。「むっちゃうま〜い!もうここにする〜!」って言って、伊勢神宮のあの場所が決まります。

髙木:でもアワビ採れるのなんて日本中いっぱいあるじゃないですか。なんであそこなんですかね。その当時なんて能登でも相当採れたはずですよね。

三石:伊勢神宮の場合には朝廷から距離が遠いっていうのも大事だったんですよね。崇神天皇の頃までは昔は同床共殿て言って、天照大神と天皇は同じところで暮らしてたんですけど、どうも神霊の力が強すぎたのか政情不安とかいろんなことが起きて、ちょっと距離とりましょう、と。それでアマテラスに相応しい他の場所を探すっていうストーリーがあるんです。

髙木:あ、じゃあその頃から別居婚っていうのはあったわけですね。

アワビの食べ方

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髙木:ところでアワビ食べる時って、どうやって食べるのが一番好き?アワビ料理。

三石:僕、アワビね、残念ながらそんな美味しいと思ったことが無いんですよ。

なんか、バターソテーでええんじゃない?って。刺身とか正直、コリコリしてるだけとしか思わない。美味しさがまだよくわからない。

髙木:あー。でもバター焼き美味いですよね。

三石:うん、残念ながらバター醤油美味しいんですよ。

髙木:うちのアワビのステーキって、最後は焼くんですけど、実際のところは煮るんですよ。

三石:へえ〜!

髙木:煮ると、昆布だけでやって、活きたアワビの殻外して、ひと鍋で50キロなんです。だから材料費でいうとひと鍋70万円くらい。

三石:おー…(笑)

髙木:スリル満点。こけたら大変。

宮田:一回干したやつを戻したりも中華でありますよね。

髙木:ありますね、あとは蒸しアワビ、煮アワビ。煮貝ですね。

あとは、バター焼き(笑)

宮田:なんかけっこうバリエーション少ないんですかね。

髙木:あとは、アワビをすりおろしてとろろにしたりとか。

宮田:すりおろしたのは銭屋さんで食ったのかなあ。

三石:すりおろしてとろろご飯にするんですか!

髙木:そうそう、そんな感じで

三石:へえ〜!

アワビのすりおろし
アワビのすりおろし (銭屋)

宮田:なにかわかんなかったもん。とろろにしてはちょっと、明らかに高級な味がする(笑)

三石:山の味じゃないと。

宮田:そう。何ですか、って言ったら、すりおろしましたって言われて、斬新!って。

髙木:でも、昔からあるんですよ。

宮田:そうなんですか。でもあんまり食べる機会ないですよね。

髙木:あんな贅沢なやり方しないですよ。こんなちっちゃいアワビだってやりにくいですよ。でかいのじゃないとできない。

三石:でかいのはもったいない。

宮田:あれが確かに一番うまかったかも。すりおろしたやつ。

髙木:あれ、少し塩を入れて、醤油もほんの数滴。ちょっとふくらみをもたせるだけで、基本的には本当にアワビの味なんですよね。

宮田:あれは、A_Restaurantで出してほしい。

髙木:一回、宮田さんリクエストで入れときますんで。

宮田:ちっちゃくていいから。ビックリ料理じゃなくて。

髙木:なんだこれ?実はアワビ。問題は、活きたアワビでしかできない。そして作り置きはできない。

すりおろしたとはいえ、細胞は残ってるわけです。そうすると、そこから水が出てくる。

そうすると、おろしたのに水がぱっと浮いてくるわけです。

それを混ぜても、一緒に流れない。そうすると味は変わりますよね。

僕が一番、アワビの料理で、自分ところの料理は別として、印象的だったのはアワビのカレーですね。

三石:どうするんですか?具なんですか?

髙木:具。イメージでいうと、思いっきりアワビの味が入ったスープカレーに、アワビがゴロンゴロンゴロンと入ってる。

三石:へえ〜…もったいない…。どういう現場で食べるんですか?それは。

髙木:フランス料理屋さんで。志摩観光ホテルの、三十年くらい前の高橋忠之さんっていう

料理長。フランスで修業したことがないのに、日本で一番のシーフードのフレンチの人って言われてて。

そこに社員旅行で行ったんですよ。中学生くらいの時に。

うちの先代と仲良かったので、高橋さんに二晩やるから献立変えてくれよって言ったら、もちろんですよと。

せっかくだから昼飯も食べたいっていって、何食べたいですか?っていうんで、カレーと。

親父は普通のカレーライスのちょっと品のいいヤツを想像してたら、いきなりアワビのカレーがドンと出てきた。

でもすっごい美味しかった。美味しかったっていうか、貝の味がカレーになるんだなって。

多分ですけど、あそこのアワビのステーキ、グリヤードっていうのが名物料理であったんですけど、それを作る時に絶対に火を入れてるはずなんですよね。その煮汁を使ったんじゃないかなと。

三石:へえ〜。再現しましょう!A_Restaurantで。

髙木:相当量のアワビが要りますよ(笑)

三石:古い文献で出てくるのは、アワビの寿司。養老律令っていう八世紀の頃の法律書の中に、アワビ寿司、なれ寿司みたいなもんですけど出てきますね。

髙木:鮒寿司みたいな。

三石:そうです。

髙木:もったいないなぁ。美味いんですかね?それ。

三石:こうしてみると古代から日本人はアワビすごい好きですよね。

髙木:でもそれだけやっぱり身近だったんでしょうね。

今って完全に高級食材じゃないですか。

三石:当時も高級食材でした。アワビが上がったら即、朝廷の方に持っていきなさい、みたいな感じで、そのまま荷札が残ってます。アワビ何腹お届けでーす、というものが。

髙木:その朝廷に持っていくって、朝廷って京都じゃないですか。

海から京都って相当遠いですよね。

三石:乾燥させます。

髙木:ああ、干して。じゃあ朝廷では生のアワビは食ってなかったんですか。

三石:えー…食べられていなかったとは言い切れないんですよ。今までは、当時の人は生で食べない、と思われていたんですが。

だんだん科学技術が進んできて、考古学に反映されるようになってくるとどうも色々違うことがわかってきた。トイレをみつけて、そのトイレから、籌木(ちゅうぎ)、糞箆(くそべら)っていう、箸みたいなやつなんですけど、これがトイレットペーパー代わりなんですよ。こうやってお尻ふいて、ポイって捨てるんですけど。

そのクソベラが出てくるとここトイレなんだなってわかるので、そこから、寄生虫の卵とか探すんです。その結果、何食べてたのかもわかってきています。生の鮎食べてたとか…

一同:へぇー!


編集部:今回も、アワビをめぐるあれこれトークが広がってゆきました。アワビの見え方が変わるのではないでしょうか。アワビについては、まだまだ話が続くので後編がございます。
次回は、話の続きで鮎の話題になります。
意外と知らなかった鮎に関するあれこれをお楽しみください。

※7 「貝合わせ」は平安時代から伝わる日本の遊び。桃の節句の時期、茶道で炭手前でお香を炊く「香合 (容器)」として金箔や蒔絵が施され内側に源氏絵や花鳥が描かれた貝が使われる。

※8 平瓮(ひらか)。薄手の器。神社では御神饌を奉じる器として用いる。土器のものが主流。

※9  万葉集巻十一「伊勢のあまの朝な夕なにかづくとふ、 鮑の貝の片思いにして」

※10  1907年に設立された、日米の人々により近い関係と、相互の理解・感謝・協力をもたらすことを目的としたアメリカ合衆国の非営利組織。

※11 熨斗(のし)あわび アワビの肉を薄くはいで伸ばし、乾かしたもの。儀式や神事用に用いられる。室町後期頃から、延長・伸展の「のす」と「(敵を)のす」という言葉に通じることから祝意を表すためにも用いられるようになった。ちなみに熨斗とは鉄製の当時のアイロンをいう。