2021.06.01

世界ぶらり安うま紀行【私の食のオススメ本】

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  • 書名:世界ぶらり安うま紀行
  • 著者:西川治文と写真
  • 発行所:筑摩書房
  • 発行年:2014年

西川治さんの文章は撮った写真のプリントを一枚一枚一緒に見ているようだ。隣りで、この時こう思ったんだよね、と話しかけてくる。

現地のものを食べることが第一で、写真に収め、その場の出来事を淡々と文字にする。世界中の「安いけれど圧倒的においしい」をさがす、そんな旅ができることを羨ましく思う。

安いとは何か。その食材が大量に安く手に入るから。大量に入手できるということはその土地の気候にあったいるから。だからみんなが作り続け料理と味が洗練される。だからうまくなる。

海から80キロの韓国・安東市では朝食に塩鯖を食べた。塩を振った鯖がちょうどよく塩に馴染む距離で旨さが増す。北京では酸っぱい漬物(Riff記事に詳しい)と豚挽肉、金針花と羊肉、鮑を刻んだ餃子などを平らげる。

ハノイでは毎朝あらゆるフォーを探し回る。フォー・ガー(鶏)、フォー・ボ(牛肉)他、タニシ入り。チャゾー(揚げ春巻き)入り…。モンゴルでは馬乳酒をウルム(生クリーム)やタルク(蘇のようなもの)のチーズなど乳製品を合わせる。

メキシコ・オアハカの路上では、発酵した唐辛子と葱を焼いたものを挟んだいちばん安いトルティーヤがもっとも美味いのだと知る。フランクフルトではいつでもどこでもブルスト。マスタードとケチャップをたっぷりのソーセージ。

韓国・全州ではうるち米からつくった、子供たちのおやつでもあるトゥポギ(トッポギ)とトックという餅を屋台や食堂で。モロッコ・ワルザザートではタジン鍋の前で蒸し上がる山羊・羊・牛・ラクダの肉を待つ。

スリランカ・ゴールでは椰子が万能であることを知る。水であり白い果肉はをおやつにし、椰子の芽をつかって椰子酒もつくる。樹液はココナツ・シュガーとなるのだ。

インド・バンガロールでは揚げ菓子揚げ物にはまる。甘いシロップにつけたシャレービス。日本でも人気のジャガイモや玉ねぎのカリー風味のサモサ。豆粉に黒胡椒のパパドや那須やカリフラワーのパコラなど。

フィリピン・マニラではムール貝の汁かけご飯。シンガポールではインド人街で魚の頭が入ったフィッシュヘッドカレー。イタリア・シチリア島ではウニをパンで食べる食べ方を少年に習う…

読むと気づく。街をつくっているのは、人のエネルギーとなる安くておいしい食べ物だということに。

WRITER Joji Itaya

出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。

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