2021.04.24

京都の中華【私の食のオススメ本】

  • 書名:京都の中華
  • 著者:姜尚美
  • 発行所:京阪神エルマガジン社
  • 発行年:初版2012年

なぜ、京都で中華なのか?

だって「平安京も唐の京都をモデルにしてる(著者)」じゃない。そうだ、京都に行こう、ではなく「そうだ、中華を食べに京都へ行こう」となる本がこれだ。

にんにくなしの餃子「草魚」・ごま入り皮の水餃子「盛華亭」・かしわのおすまし三絲魚翅(サンスーユーテー)「蕪庵」・親子丼のような鳳凰蛋「芙蓉園」・辛い酸っぱいからし鶏「鳳飛(ほうひ)」・青じそ香る若鶏甘ず六三風・たけのこぎっしりエビの春巻き「ハマムラ河原町店」・もちもち衣の大エビ天ぷら「ぎをん森幸」・はちみつ色のすぶた「糸仙」・おひとり様用雲白肉(ウンパイロウ)「駱駝」・みたらしのような肉だんご甘酢「竹香」・おまわり点心、くわい入り焼売「富三油」・かやくごはんのような焼飯「盛京亭」・のっぺいのような天津飯「北京邸」・つーんと泣かせるカラシソバ「平安」・青ねぎたっぷり九条葱と蒸し鶏の汁麺「ぎをん翠雲苑」・8分待って冷めんハム入り「中華のサカイ本店」・甘いおだしのキーシマ「やっ古(旧字)」

この目次を読むだけで、皆んな中華料理頭になってしまうのでは?
実際に一つ一つ記事を読んでいくと、店主、料理人たちが著者である姜尚美(かんさんみ)氏に心を開いて、丁寧な取材に答えているのを感じる。

読むだけで、そこに行って食べているような気になる文章というものにはなかなか巡り会わない。

それでも読めばやっぱり、京都・中華料理の旅にでたくなること必至だ。

WRITER Joji Itaya

出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。