- 書名:行正り香の今夜は家呑み
- 著者:行正り香
- 発行所:朝日新聞社
- 発行年:2009年
行正さんの酒の肴は本人の「食べたい!」がつくり出している。ページをめくるたびに「そうだ!それ食べたい!」と食べたい!が連鎖する。
行正さんは「頑張って働くのは、おいしくお酒を飲むため」と宣言していた。
昔であれば、おじさん感涙とか、パパ大喜びというタイトルがついたかもしれないが、これは味に無頓着な男どものためにあるのではなく、お酒をこよなく愛する「家呑み者」全員に引き継がれるべきレシピ集だ。
キャベツの山椒サラダ。湯むきトマト、玉ねぎレモンソース。レンジ(で作る)バーニャカウダ。レタスとカニ缶のサラダ。芽キャベツのゆっくりフライ。千切りジャガイモのソテー。ダイコンとホタテ缶のサラダ。夏野菜入れるだけ煮。2ミニッツ・ステーキ。豚バラの黒七味キャベツのせ。さみしさ(さとう・みりん・しょうゆ・さけ)同量照り焼きチキン。20ミニッツ・カリカリチキン。鶏レバーのウスターソース煮。砂肝のしょうゆ漬け。刺し身用ぶりのソテー。ただのアジフライ。プチトマトと玉子のオリーブオイル。コンビーフの卵とじ。キャベツのゆずこしょうパスタ。ペヤング(焼きそば)の卵包み。玉ねぎ丼。トマツナ・カレー・・・
なんだか、ちょい足しレシピじゃないの?と思われる方はページをめくって欲しい。そわそわするのである。「あー、それがほしかったぁ」となるはずだ。
自著も多い料理本の撮影スタイリングで定評のあるタイリスト高橋みどりが撮影のスタイリングを担当。余計な演出なしなのに実に美味しそうだ。
コロナ禍の2021年にこの記事を書いているが、家呑みは続きそうなので、この本をおすすめする。
出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。