- 書名:12ヶ月の食卓
- 著者:野上優佳子
- 発行所:笠倉出版社
- 発行年:2019年
著者、野上優佳子さんは30年以上「お弁当のセカイ」に生きてきた。そして弁当のプロになって、お弁当のおかずの方程式を編み出した。弁当コンサルタント、執筆や講演、レシピ開発しているうちにクラウドファンディングでプラスチックを混ぜない100%土に還るバンブーファイバーだけのBENTO boxまで作ってしまった人だ。
また、ごはんをつくる前に読む本という著書では、献立を考えずに食べたいものから考える、食べることの自由を説いた。
その野上さんがまとめてくれたのが「行事を楽しみ旬をあじわう」ための本書だ。昨今、1太陽年を24に分けた二十四節気というものが見直されている。この本ではその節気と日本で古くから伝わる「身体を守る食べ方」をやさしく教えてくれる。
ひな祭りと菱餅。啓蟄とよもぎ、タラの芽、ふき。八十八夜と抹茶。端午の節句と菖蒲都とよもぎと柏餅。入梅といわしの甘露煮、らっきょうの甘酢漬け。七夕と枝豆。半夏生と甘酒。夏の土用とうなぎとしじみ。お盆と精進揚げ。重陽の節句と菊。十五夜・十三夜と栗、芋。秋の彼岸とおはぎ。冬至とゆず、かぼちゃ、こんにゃく。大晦日とそば、ぶり。元旦とくるみ入り田作り。七草と七草粥。節分といわし。
本書では春夏秋冬の野菜や魚の解説や料理レシピもわかりやすくまとめられている。
料理から解放される自由と、巡ってくる太陽の道、黄道に行事と食で心と体をゆだねる楽しさもこの国には残したいものだ。
出版にたずさわることから社会に出て、映像も含めた電子メディア、ネットメディア、そして人が集まる店舗もそのひとつとして、さまざまなメディアに関わって来ました。しかしメディアというものは良いものも悪いものも伝達していきます。 そして「食」は最終系で人の原点のメディアだと思います。人と人の間に歴史を伝え、国境や民族を超えた部分を違いも含めて理解することができるのが「食」というメディアです。それは伝達手段であり、情報そのものです。誰かだけの利益のためにあってはいけない、誰もが正しく受け取り理解できなければならないものです。この壮大で終わることのない「食」という情報を実体験を通してどうやって伝えて行くか。新しい視点を持ったクリエーターたちを中心に丁寧にカタチにして行きたいと思います。